脊髄損傷の異議申し立て

交通事故オンライン後遺障害編

伊佐行政書士事務所
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  1. 脊髄損傷
  2. 診断基準と認定基準
  3. 異議申し立てに必要なこと

脊髄損傷

脊髄とは、脳からのびて脊柱管の中を走行している中枢神経で、その高位により頚髄や胸髄、腰髄等と分けられます。 事故で頚部に強い外力を受けた場合、頚髄を損傷する場合があります。診断書には中心性脊髄損傷とか、頚髄不全損傷と書かれることが多いです。 症状としては手や足のしびれ、麻痺、感覚異常、排尿障害などがみられますが、必ずしも全ての症状が揃うわけではありません。 症状の程度も様々で、支障はあるものの通常の日常生活を送ることが可能なケースもあれば、支障著しく就労が困難ということもあります。

診断基準と認定基準

『医師は中心性脊髄損傷と診断してます。脊髄が損傷しているのだから14級では低すぎるのではないでしょうか?』という疑問をお持ちになり、ご相談いただく方が多いです。 確かに脊髄の損傷が明らかであれば、12級、9級、7級、もしくはそれ以上の重い等級が認定されてもおかしくはありません。 それではなぜ14級にしか認定されないのでしょうか。それは医師の診断基準と、後遺障害等級の認定基準に違いがあることが原因となっています。 ある傷病名をつけるための医師の診断基準には、全てに厳密な決まりがあるわけではなく、医師個人の裁量に任される部分が大きいです。たとえば『中心性脊髄損傷』という 診断をする場合には、症状、画像所見、その他の検査所見などを参考に診断を行いますが、どういう画像検査法やその他の検査法を取るか、また、その結果をどの程度 重要視するかは医師の自由ですので、医師によって傷病名が異なるということがしばしばあります。たとえば、ある医師の診断では中心性脊髄損傷だったが、 別の医師の診断では外傷性頚部症候群だった、ということがあるのです。

わかりにくい脊髄損傷もある

脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴うものと、そうでないものがあります。骨折を伴い見た目にも脊髄の損傷が明らかなケースでは、等級認定上大きな問題は起こりにくいですが、 骨折がなく、見た目には脊髄が損傷しているのかどうかはっきりわからないケースでは、適切な等級認定を行う上で問題が起こりやすいのです。 中心性脊髄損傷や不全損傷といわれる場合、損傷が画像に写る場合もありますが、写らない場合もあります。 写らない場合は14級止まりとされることが多いのです。しかしそれでも画像以外の所見が脊髄損傷を証明できる程度に得られれば、 12級以上の等級に認定されることはあります。ですから『画像に写らないから』と安易に諦めるべきではありません。

後遺障害等級の認定には、強い公平性が求められています。傷病名によってのみ等級を決めていては、医師によって傷病名が異なることが珍しくないという現実を考えると、 公平性が担保されないため、医師の診断とは別視点から見た認定基準が必要とされているのです。脊髄損傷の場合、医師にそのように診断されても、 後遺障害等級認定基準には該当しないケースが数多くあります。これは一律に医師が間違っているとか、傷病名がおかしいとかいうことではなく、 等級認定がおかしいということでもありません。もともと12級以上の等級に認定されるのは『脊髄損傷』と診断された中で、一部しかありません。 『認定がおかしい』『医師の診断がおかしい』という疑義を持つ前に、何が原因で認定されなかったのか、正しい分析をすることが重要です。

異議申し立てに必要なこと

具体的な対策としては、一般的にはMRIによる検査、その他の神経学的検査を受け、医師に診断書を書いていただくことになりますが、 既に検査済みということが多く、新たに検査を受けるということよりも、ポイントを押さえた診断書等を出すなどの方法を取ることが多いです。 別の医療機関を受診することで道が開けてくるケースもあります。

症状固定前からの対策が有効なケースも

症状固定前からご相談いただいていれば、あるいは何とかなったかも・・・という依頼者様が多いのが、脊髄損傷の特徴です。 辛い症状で生活が変わってしまっている方が多いですが、低い等級にしか認定されず、精神的にも参ってしまっている方が多いです。 お困りの方は、できるだけ早めにご相談ください。

異議申し立ての事例

事故態様

32歳男子会社員が自転車で道路横断中に乗用車にはねられる。被害者は衝突位置より3m先に投げ出され転倒。

傷病および治療経過

頭部打撲、中心性脊髄損傷、頚部挫傷、左手首・左肘、左肩打撲、腰部打撲、右股関節捻挫、右膝打撲など。2ヶ月入院の後1年半通院し症状固定。 初回認定では、四肢の痺れおよび感覚障害により14級9号に認定。被害者は杖歩行を強いられており、一般就労は不能な状態が続いている。

異議申し立て

症状固定時の病院に医療照会を行い、検査および診断書作成を依頼。並行して別の病院にて画像検査等を受け、こちらでも診断書作成を依頼した。 資料を整理し症状経過を明らかにした上で異議申し立てを実行。12級13号に認定される。

Q. 頚髄不全損傷で認定される等級は?

A. 昨年10月に停車中に追突され頸部捻挫などでずっと 通院していましたが、1週間前に症状固定により後遺 障害の申請をしました。通院していた整形外科で後遺 障害診断書を書いてもらいました。内容は、  診断名・・・頸部挫傷、頚髄不全損傷、右肩挫傷 自覚症状・・頸部痛、頭痛、嘔気、手の痺れ、時々右 足左手痺れ、肩から腕にかけての痛み、右腕鈍痛 他覚的所見・・MRI画像にて頸椎骨変形あり、上肢腱反 射正常、握力 右、左 20kg、 運動機能障害・・前屈 40℃ 後屈 20℃ 右屈 30℃ 左屈 30℃  右回 40℃ 左回 3 0℃ です。頚髄損傷で後遺障害は認められますか?ま た、認められたとしたら何級になりますか?

Q. 後遺障害等級が何級に認められるかにつきましては、後遺障害診断書記載内容のほか、レントゲンなどの画像フィルム、 その他の診断書等の内容により判断すべきことです。お示しいただいたデータはそのうちのごく一部のものでしかございませんので、 予想するにしましても、かなり不確かなことしか申し上げられません。強いて申し上げますと、診断名と自覚症状、 それからMRIで椎骨変形が認められるということですと、14級または12級に該当する可能性はあるということになります。 頚髄不全損傷という診断がありますので、9級以上の等級になる可能性もゼロではないと思いますが、それには画像や神経学的検査によって、 損傷の存在が明らかにされる必要があります。医師が診断名を付ける根拠とした所見は、等級認定に要求される所見とは異なりますので、ご注意ください。