自由診療と健康保険

交通事故オンライン後遺障害編

伊佐行政書士事務所
〒278-0051千葉県野田市七光台316-17
  1. 健康保険とは
  2. 自由診療とは
  3. 診療報酬の計算方法

健康保険とは

健康保険の種類

  • 政府管掌健康保険・・・小規模会社に勤める人の保険です。社会保険事務所で取り扱います。
  • 共済組合・・・国や自治体の職員、教師などの公務員の保険です。各共済組合が取り扱います。
  • 組合管掌健康保険・・・大きな企業に勤める人の保険です。各健康保険組合で取り扱います。
  • 国民健康保険・・・自営業者などの保険です。各市町村で取り扱います。

健康保険というものは、そもそも自分で怪我や病気になったときに備えて被保険者が保険料を支払って加入しているものです。 自分の不注意で転んで骨折をしたとき病院で保険証を出せば実際の治療費の3割程度の負担で済むのは、 自分または家族が保険料を支払っているからです。交通事故で加害者の過失が100%の場合は、事故による怪我の治療費などは 加害者が全て賠償すべきですから、通常は自由診療といって、健康保険を使わない診療が行われます。 もし交通事故の治療に健康保険を使う場合は、『第三者行為による傷病届』を保険者に提出する必要があります。 この届けを行なう事で、保険者は後で治療費を加害者に請求する事となります。

自由診療とは

自由診療は保険を使わない診療のことです。日本では国民全員が社会保険に加入し、健康保険によって受診する事が当たり前になっているので、自由診療が特殊なイメージがありますが、 アメリカ合衆国などでは公的な医療保険制度は確立されておらず、私的な医療保険に加入していない者は、高額な自由診療を受けざるを得ないのが普通になっています。 診療報酬は診療単価に点数を乗じて算出します。健康保険の場合は単価が10円と決められています。自由診療の場合の単価は特に制限がなく、病院によってまちまちですが、 過去の判例等から、現在では12円から20円程度の場合が多いようです。 健康保険では治療内容や治療費などに様々な規制が設けられています。例えば、医薬品は薬事法上の医薬品承認許可を受けたものしか使えません。 自由診療の場合には、そのような規制はありませんので、健康保険では認められない薬であっても使うことが可能なようですが、 交通事故でわざわざそのために自由診療にするということはあまり耳にしません。

交通事故で健康保険は使えるか

交通事故の場合は原則として健康保険は使わずに自由診療で治療が行われます。ですが、そのことにより被害者に不利益が及ぶようなケースの場合は 健康保険の使用を検討すべきです。被害者に不利益が及ぶというのは、色々なケースがありますので一概には言えないことですが、 次の場合には健康保険の使用を考えましょう。

  • (1)被害者自身の過失が大きい場合・・・治療費を圧縮することで自賠責保険から休業損害や慰謝料が受け取れる可能性があります。
  • (2)加害者が自賠責保険にしか加入しておらず、損害額が自賠責保険を超える恐れがあるとき・・・加害者の資力がなく、損害賠償を受けられないリスクを減らします。

健康保険を使う場合は、病院の窓口で保険証を提示して、あとで第三者行為による傷病届けをする必要がありますが、これらの手続きの途中で 『交通事故では健康保険は使えません』などと思わぬ抵抗にあう場合があります。交通事故での健康保険の使用の可否については、 非常に奥深い考え方があり、ややもすると『やはり健康保険は使えないのか』という具合に納得させられてしまいがちです。 それに対してどう対応すべきかというのはその時々によって異なりますが、事故でも健康保険を使えるという事は憶えておきましょう。

診療報酬の計算方法

診療報酬は、初診料など定額で定められている部分と、リハビリや投薬など点数が定められているものがあります。例えば器具による消炎鎮痛処置 が35点だったとすると、これに1点単価や技術加算などを乗じた金額の合計が診療報酬になります。 実際にはもっと細かい決まりがありますが、ここでは概要だけつかんでください。

1点単価

健康保険の場合は1点単価は10円と決まっていますが、自由診療の場合は病院によってまちまちです。以前は30円というところもありましたが、 今は12円とか20円~25円くらいが多いようです。 この点が保険会社から被害者への自由診療から健康保険への切り替え要求の原因になっています。 つまり、同じ病院で同じ治療を受けても、自由診療で1点単価が20円だった場合と健康保険を使って1点単価を10円にした場合とでは、 治療費が半分で済んでしまうという事です。 被害者としては治療費は任意保険会社が病院に直接支払ってくれることが多いので、あまり気にならないことが多いと思いますが、 加害者が自賠責保険しか入っていない場合などは、加害者に資力がないのでしたら健康保険の使用を検討するべきです。

ただし、何でもかんでも健康保険を使えばよいというわけではありません。損害の総額が自賠責保険の範囲内で収まる場合は自由診療でも通常のケースでは不利益は起こりません。 自由診療の単価が12円程度の病院もありますし、交通事故が原則は自由診療というのも理由があってのことですので、病院との関係などを総合的に考えて決めるといいでしょう