醜状障害

交通事故オンライン後遺障害編

伊佐行政書士事務所
〒278-0051千葉県野田市七光台316-17
  1. 外貌醜状
  2. 上肢・下肢の露出面の醜状
  3. 日常露出しない部位の醜状
  4. 手術による改善と後遺障害
  5. 脊柱の後遺障害
  6. 体幹骨の後遺障害
  7. 呼吸器や循環器などの胸腹部臓器の後遺症

外貌醜状

外貌とは頭部、顔面部、頚部をいいます。著しい醜状とは、頭部では手のひら大以上の瘢痕または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損をいいます。 顔面部では鶏卵大以上の瘢痕、長さ5センチメートル以上の線状痕または10円銅貨大以上の組織陥没をいいます。頚部では手のひら大以上の瘢痕をいいます。 単なる醜状とは、頭部では鶏卵大以上の瘢痕、頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損、顔面では10円銅貨大以上の瘢痕、長さ3センチメートル以上の線状痕、 頚部では鶏卵大以上の瘢痕をいいます。髪の毛などで傷が隠れる場合は認定の対象外となります。

女子の外貌に著しい醜状を残すもの 第7級12号
女子の外貌に醜状を残すもの 第12級15号
男子の外貌に著しい醜状を残すもの 第12級14号
男子の外貌に醜状を残すもの 第14級10号

平成23年2月に労災の障害別等級表から男子の醜状障害の等級が削除されました。同時に女子の等級が男女共通の等級とされています。
平成22年6月10日以降に発生した事故については、次の表が適用されます。

外貌に著しい醜状を残すもの 第7級12号
外貌に相当程度の醜状を残すもの 第9級16号
外貌に醜状を残すもの 第12級14号

上肢・下肢の露出面の醜状

上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの 第14級4号
下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの 第14級5号

上肢・下肢の露出面の醜状であっても、手のひらの大きさの3倍以上であるなど、その程度が著しい場合は12級が準用される場合もあります。

  

日常露出しない部位の醜状

日常露出しない部位であっても、瘢痕の程度により、相当等級が認定されます。

手術による改善と後遺障害

被害者が形成手術を希望している場合は、どのように取り扱われるべきでしょうか。 後遺障害認定前であれば、治療効果が期待できる場合は、手術費用も損害として認められることが多いと思われますが、 醜状の改善や増悪の防止が期待できない場合は、否定されるとみてよいでしょう。 症状固定後の場合は、例えば後遺障害等級が12級に認定された後の手術費用については、手術により等級に該当しない程度の改善がみられた場合は、 後遺障害慰謝料等の損害賠償と、手術費用の二重取りということにもなるため、手術費用が認められる可能性は低いのではないでしょうか。 これに対して、ある程度の手術効果は認められたが、等級に変更があるほどの効果までは認められなかった場合は、手術費用の請求は認められやすいと 考えられます。

将来の手術費用を請求するも、痛みやリスクがあり、また、実際に手術を行うかどうかわからない場合の手術費用も否定される傾向にあります。 ただし、将来の手術費用としては否定しても、慰謝料の斟酌事由とする例もあります。

労災の外科後処置

労災では傷病が治癒した者において、再手術により醜状の軽減を見込めるものについては、その治療費等を給付し、社会復帰の促進を図っています。

脊柱の後遺障害

第6級5号の脊柱の著しい奇形とは、圧迫骨折などが確認でき、後彎や側彎が生じている場合で、前方椎体高と後方椎体高の高さを比較して判定します。 例えば変形した二個以上の椎体の前方椎体高の合計と、後方椎体高の合計との差が、 減少した後方椎体高の一個当たりの高さ以上である場合は著しい変形とされます。

変形障害は、等級表には第6級か第11級しか設定されていませんが、中程度の変形を残した場合には第8級が準用されます。 中程度の変形とは、例えば変形した一個以上の椎体の前方椎体高の合計と、後方椎体高の合計との差が、 減少した後方椎体高の一個当たりの高さの50%以上である場合は中程度の変形とされます。

単に圧迫骨折を残す場合や脊柱固定術が行なわれた場合などは単なる変形で11級となります。 頚部または腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とする場合は8級が準用されます。

脊柱に著しい奇形又は運動障害を残すもの 第6級5号
脊柱に運動障害を残すもの 第8級2号
脊柱に変形を残すもの 第11級7号

その他の体幹骨の後遺症

体幹骨骨折では、鎖骨の変形治癒が問題になるケースが多くあります。鎖骨を骨折した場合、手術がされることは多くはなく、 どちらかというと装具を用いた保存療法がとられることが多いです。 そのために骨折部分がまっすぐにくっつかず、変形治癒することがあります。 変形の度合いが、裸体となったときに明らかにわかる程度である場合は、後遺障害として12級に認定されます。 レントゲンで変形が確認できるに過ぎない程度では、認定されません。 肋骨が変形治癒または切除された場合、それが1本でも2本でも、一つの障害として評価されます。

骨盤骨を骨折した場合に、股関節の機能障害や痛みが残る場合があります。 また、女性の場合は産道狭窄などにより、通常の分娩が困難となるケースもあります。 骨盤骨の単なる変形は12級となる可能性がありますが、股関節の機能障害を伴う場合や、産道狭窄がある場合は等級が異なってくる場合もあり、注意が必要です。 骨移植のための腸骨採取では後遺障害とはなりません。

鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨、又は骨盤骨に著しい変形を残すもの 第12級5号

骨折について

  • 【完全骨折と不完全骨折】
    完全に折れてしまっているか、ひびがはいっているだけかの違いです。
  • 【単純骨折と複雑骨折】
    単純骨折とは皮下骨折、複雑骨折とは開放骨折(骨が皮膚から飛び出している状態)のことをいいます。 因みに骨が細かく砕けるのは、程度により複合骨折とか粉砕骨折などといわれます。
  • 【剥離骨折】
    靭帯や腱の付着部の骨がはがれるものをいいます。捻挫や脱臼などの際に起こりやすいといわれています。
  • 【第三骨片】
    骨のかけらのことをいいます。

呼吸器や循環器などの胸腹部臓器の後遺症

呼吸機能の障害は動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査結果、スパイロメトリーの結果や呼吸困難の程度などにより判定されます。

循環器の障害は心機能低下の程度や除細動器、ペースメーカーの植え込みなどにより等級が決められます。

腹部臓器については消化吸収障害の程度や胃の切除の有無、ダンピング症候群の有無、小腸の切除の程度、人工肛門の造設などにより判断されます。

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 別表第1 第1級2号
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 別表第1 第2級2号
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 第3級4号
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 第5級3号
胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 第7級5号
胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 第9級11号
胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの 第11級10号
胸腹部臓器の機能に障害を残すもの 第13級11号

尿道狭窄

尿道に外傷を負ったことによる瘢痕形成などが原因で尿道が狭くなり、排尿障害を生じます。 シャリエ式尿道ブジー第20番が通り、定期的に尿道拡張術を行う必要のあるものは14級相当となります。 より細い構造の糸状ブジーが必要なものは11級相当とされます。カテーテルがストロー状の構造になっているのに対し、 ブジーは管構造を持っていないため導尿ができません。

生殖器の後遺障害

常態として精液中に精子が存在しないもの、卵子が形成されないもの、両側の卵巣を失ったものなどは7級が準用されます。狭骨盤は程度により11級が 準用される事があります。一側の睾丸(高度の萎縮を含む)や卵巣を失ったものの場合は13級が準用されます。男性の心因性のインポテンツは、神経障害として評価される可能性があります。

両側の睾丸を失ったもの 第7級13号
生殖器に著しい障害を残すもの 第9級16号