高次脳機能障害と後遺障害等級認定

交通事故オンライン後遺障害編

伊佐行政書士事務所
〒278-0051千葉県野田市七光台316-17
  1. 高次脳機能障害とは
  2. 認定対象となる等級
  3. 高次脳機能障害の症状
  4. 行政による医療・福祉サービス提供のための診断基準
  5. 自賠責保険における高次脳機能障害の診断基準
  6. 等級認定実務の限界
  7. 異議申し立てに必要なこと
  8. 異議申立ての事例1~4
  9. 高次脳機能障害の画像所見
  10. 意識の評価
  11. 神経心理検査
  12. 日常生活状況報告表の質問内容
  13. 脳外傷による精神症状等についての具体的な所見
  14. 軽度外傷性脳損傷(MTBI=Mild Traumatic Brain Injury)の判例

高次脳機能障害とは

交通事故で脳に外傷を受けたあと、精神の障害で社会生活が上手くできなくなることがあります。 症状が重い場合は相応の後遺障害等級に認定され、妥当な損害賠償を受ける事が可能となりますが、 目に見える部分の症状が軽い被害者は、外見上は事故前の状態に回復しているように見えるため、妥当な後遺障害等級が認定されない場合があるのです。 家族も完治したものと喜び、社会復帰も実現したが、いざ会社や学校に戻ってみると「新しいことを憶えられない」、「計画を立てられない」、 「感情のコントロールができない」などのことから周囲から孤立し、退職に追い込まれます。 家族は「まだ疲れているのだろう」、「事故のために少しイライラしているのだろう」程度に考えていたのですが、会社を辞めるころになってようやく「これはおかしい」と気がつくことも多いです。

「高次脳機能」というのは、脳が複雑な計算を行う機能のことです。例えば物を見たり、音を聞いたりした後に、それがどういうもので、どういう役割を担うのか、などということを計算する働きといえるでしょう。脳の高次機能が障害されると、記憶障害、注意障害、意欲の低下など、様々な症状がみられるようになりますが、どのような症状が出るか、また、その程度についても様々であるため、障害の程度を客観的に認定することが難しくなっています。

なお、脳の高次脳機能に対して、一次機能という言葉がありますが、これは目や耳で受け取った情報を脳に伝える機能のこと等を指します。

認定対象となる等級

一口に高次脳機能障害といっても、その症状は様々です。一緒に生活していても障害があるのかどうかわかりにくいという程度の人もいれば、 一人では生活できず、常に看視が必要という重い症状を抱える人もいます。こうした症状の違いによって、後遺障害等級表の「神経系統の機能又は精神の障害」 として第1級、第2級、第3級、第5級、第7級、第9級のいずれかに分類されることとなります。

難しい等級認定

自分には知識がないからと、医師まかせ、保険会社まかせにしていると、後で困難な状況に立たされる可能性があります。高次脳機能障害の 症状のために仕事が続けられないのに、等級が非該当となったり、一番軽い第9級にしか認定されなかったりという状況です。 高次脳機能障害において適切な等級を認定してもらうためには、申請前に早めに準備しておくことも大切です。

等級別、症状のイメージ

これは当事務所が高次脳機能障害の被害者様に接して感じた大まかなイメージです。基準ではありませんので、参考程度とお考えください。

  • 第1~3級 一人での生活は困難
  • 第5級 一人での生活は心配が多い、一般就労は困難
  • 第7級 一人での生活は可能だが、一般就労で支障が多く、継続が困難
  • 第9級 一人での生活も一般就労も可能だが、トラブルが絶えない。

検証事例一覧

等級 入院期間 治療期間 傷病名 症状
1 第9級 40日間 840日間 脳挫傷、急性硬膜外血腫 仕事の覚えが悪くなった。物忘れが多いため、失敗が多い。約束を忘れたり、財布を置き忘れたりする。
2 第9級 49日間 651日間 頭蓋骨陥没骨折、急性硬膜外血腫 物事に慎重になった。車を運転していても速度が遅く、流れに乗れないが気にならない。友達の中心になるような存在だったが、 人付き合いをしなくなった。イライラしている。
3 第9級 20日間 248日間 頭蓋底骨折、脳挫傷、左側頭骨骨折 時々ふらつく。約束を忘れる。新しい道を憶えられない。職場でパソコンを使うが、データを消去したり、どこへ保存したのかわからなくなる。 文章のつじつまが合っていない。見直しても間違いに気がつかない。
4 第9級 15日間 148日間 外傷性クモ膜下出血、脳挫傷 記憶力の低下。言葉が出ない。大人しくなった。友人と会うと人が変わったといわれ、疎遠となる。 卒業後就職できたが、数か月で配置転換になり、半年程度でやめてしまった。婚約者とも喧嘩別れしてしまった。
5 第9級 18日間 181日間 急性硬膜下血腫、脳挫傷、頭蓋骨骨折 物忘れが酷い。約束を忘れる。怒りっぽくなった。無駄遣いをする。運転手の仕事を続けているが、慣れた道を間違えることがある。 職場では変わり者といわれている。
6 第7級 69日間 498日間 外傷性くも膜下出血、頬骨骨折 職場で人間関係が上手くいかなくなり退職した。再就職したが、同じ問題で退職することになった。人の悪口を平気で言う。 自分のことを棚に上げて人の悪いところを指摘する。場違いな発言で混乱させる。場違いに笑う事がある。地図を見て目的地に行けない。 旅行の計画を立てられない。
7 第7級 331日間 403日間 外傷性脳出血、右大腿骨骨折、頭蓋骨骨折 話しかけてもいつも返事が上の空になった。子供が泣いているとうるさいといって怒鳴ることがある。 買い物に行くと些細なことで店員にクレームをいう事が多い。話をしていると、話題があちこちに飛んで会話にならない。
8 第7級 185日間 368日間 左急性硬膜下血腫、左側頭葉挫傷 料理をするときの要領が悪くなった。他の材料を炒めながら、別の作業をすることができない。火を消すのを忘れる。タイマーのセットを忘れる。 買い物に行くときに財布を忘れる。買った袋をスーパーに忘れることもある。だらしなくなった。
9 第5級 51日間 668日間 頭部外傷、脳挫傷 決まった店への買い物以外は外出しなくなった。冷蔵庫に必要のない同じ品物がいくつもある。仕事で計画の立案や実行ができなくなり、 単純な作業をやっている。それもミスが多く、職場で孤立している。身だしなみに無関心になった。靴下が左右バラバラでも直そうとしない。 掃除ができなくなった。電車の乗り換えがわからない。
10 第5級 23日間 701日間 急性硬膜下血腫、脳挫傷 事故後仕事にルートセールスの仕事に復帰したが、取引先との約束を忘れるなどして退職。その後三回職を変えるが、どこも勤まらずに数カ月で退職した。 単純なことも一つ一つ説明しないとできない。いくつかの作業が重なると対応できない。 家では怒りっぽく、家族に怒鳴ることがある。同じことを何度もしつこく繰り返す。人の気持ちを理解できなくなった。

症状と等級の関係についての検証

「どのような場合に第何級に認定されるのか?」その判別は容易ではありません。認定内容は明らかにはされないため、複数の事例を検証して、 どういう場合に何級になれば妥当なのかを考えるよりありません。 当事務所で検証している項目は治療期間、傷病名、意識障害の程度・期間、障害の種類、症状の程度、検査結果、画像所見などです。 それぞれが認定結果にどの程度影響を及ぼすのかを知れば、等級認定に必要な対策もより具体的なものとなります。

  • 1)治療期間・・・治療期間の長さは重症度に比例すると考えられますが、高次脳機能障害の症状の程度とは必ずしも比例しません。 治療期間の長さによって認定が左右されることはないと考えてよいでしょう。
  • 2)意識障害・・・JCS,GCSスコアや意識障害の続く期間の長さは、等級に連動する傾向にあります。 ただし単純に意識障害の程度が等級に反映されているのではありません。
  • 3)傷病名・・・診断名の違いにより等級評価が異なることはないと思われます。ただし頭部に外傷を負った場合でなければ、 器質的精神障害としての認定はされません。
  • 4)症状の程度・・・障害の内容や症状の程度は等級認定において重要な評価項目です。

認定の条件

審査は、次のような書面と検査資料により行われます。そのため適切な検査が行われていなかったり、 診断書等の書き方が適切でない場合は、それが原因で非該当とされる場合もあります。

  • 1)後遺障害診断書
  • 2)神経系統の障害に関する医学的所見
  • 3)日常生活状況報告書
  • 4)MRI画像など

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害は、事故などによる頭部外傷以外にも脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、アルツハイマー病などでも起こりうるとされています。 頭部外傷は頭蓋骨骨折、局所性損傷(脳挫傷や硬膜外血腫)、びまん性脳損傷(脳震盪やびまん性軸索損傷)などに分けられます。

高次脳機能障害では様々な症状が見られますが、大きく分類すると例えば次のような分け方ができます。①認知障害、②行動障害、③人格変化などです。 具体的には①の認知障害は、記憶障害、集中力や注意力の低下、判断力の低下などが挙げられます。②の行動障害は、持続力の低下、同じ失敗を繰り返す、意欲の低下などが挙げられます。 ③の人格変化は、感情が変わりやすい、攻撃的、幼稚、多弁などが挙げられます。

  • 【典型的な症状の例】
  • 記憶・記銘力障害、集中力障害、判断力低下、人格の変化など。
  • 感情の起伏が激しくなったり、気分が変わりやすくなったりします。
  • 場所をわきまえずに怒って大声を出したりします。
  • 話がまわりくどくなったりします。
  • 周囲の人間との人間関係が悪くなることがあります。
  • 病識がない場合があります。
  • 行動を計画したり、実行することができなくなります。
  • 羞恥心が低下します。
  • 暴力をふるいます。
  • 半空間無視。例えば左側にあるものだけ無視します。
  • すぐに他人に頼ります。
  • こだわりが強くなります。
  • 忍耐力がなくなります。
  • 歩行にふらつきがみられます。
  • 笑うべきでない場面で、笑ったりします。

どのような症状が、どのくらいの重さで残るかは人により異なります。一緒に生活していても変化に気がつきにくい程度の人もいますし、数時間一緒にいただけで異常が感じられるほど 明らかな症状を呈する人もいます。家庭内だけでは症状が見つけられず、社会に出てからようやく異変に気がつくということもあるのです。

40代の事故後無職になった男性は退院後、車の運転をしばらくしていましたが、ある日たまたま家族を乗せて出かけたところ、極端に車道の左端によって走行していることがわかりました。速度もゆっくりしており、 周囲の車の流れに乗れていません。目的地は何度もいったことがある場所だったのですが、途中で道を間違えたり、目的地の前を通り過ぎてしまったりします。ようやく到着し、 駐車場に車を入れようとするのですが、バックをしながらハンドル操作をすることが上手くできないようで、店の入り口から遠く離れた、周りに車が止まっていないスペースに停めていました。

一人暮らしをしている男性は、買い物が苦手になりました。冷蔵庫には食品が整然と並べられていますが、同じ牛乳パックが3本ありました。1本あれば十分なのですが、気がつかずに 次から次へと購入してしまったようです。3本とも飲み口は開けてありました。ほかにも、小鉢に割りいれた生卵が二つ置いてありました。ご飯にかけて食べるつもりだったらしいのですが、 他のおかずの準備をしている間に、卵を割ったのを忘れてしまうのだそうです。食べ終わってから、準備されている卵を見て、自分で割ったのだろうかと考えてしまうことがあるそうです。 出かけるときに携帯電話や財布を忘れる事はしょっちゅうです。銀行でお金をおろして、カードをATMのところに忘れてきたこともあるそうです。

一般企業で働く男性は、復職後、仕事がうまくいかずに悩んでいます。上司に来週のミーティングの準備をするように命じられても、何をすべきなのか見当がつきません。会議室の手配、 資料の準備、参加者への連絡などいちいち指示を出され、何とか進めてはみたものの、目的が把握できていなかったり、資料に不足があったり、連絡するのを忘れていたりで、結局他の人が 準備をし直すことになりました。しかし企画を作る才能は以前からあり、その能力は維持されています。案を出すことはできても、それを他人に伝達することが上手くできなくなっているようです。 友人との飲み会の約束も何度も忘れてすっぽかしています。当日連絡があっても、約束していたことが思い出せません。その一方で、自分が憶えている約束については、 何度も約束の確認の電話を仕事中に入れてくるため、相手を怒らせてしまいます。

実家に両親と住んでいる女性は、都内へ勤めるOLでした。事故のため退職せざるを得なくなり、今はレストランでアルバイトをしています。手際がよく、細かいことに気がつく女性でした。OL時代は 朝早く家を出るため、身支度も手慣れたもので、30分もあれば自分で用意した食事をとって出かける事が出来ました。ところが事故後、動きが緩慢になってしまいました。自分から考えて 行動することが苦手になってしまったようです。身だしなみはきちんと整えて出かけるのですが、朝は母親が用意した食事をとって身支度を整えるまでに2時間くらいかかるそうです。 ひとつのことを終わらせてからでないと、次のことを始められないのではないかとご両親はいっておられました。第一印象がしっかりした感じで、テキパキ動くように見える ので、アルバイト先でも最初は接客を教えられていたのですが、手順を憶える事が出来ない、注文を聞き忘れるなどのことがあり、今は厨房の手伝いや雑用に回されることが多くなているようです。 ご本人はそうした待遇に不満を持っており、自分のミスではなく、周りの人の不理解や嫌がらせを受けていると受け止めているようです。

ご両親と同居している30代の女性は、事故後始めたアルバイトを5年ほど続けています。 先輩が退職したことをきっかけにアルバイトの 責任者を任されることになりました。 コツコツと真面目に仕事をこなす姿勢が評価されたようです。責任者の仕事は新人アルバイトの教育と、シフトの管理です。 女性は責任ある立場になったことで、より一層仕事に打ち込むようになりました。ところがしばらくすると、 職場の人間関係がギクシャクしはじめました。 新しく採用されたアルバイトも長続きしません。原因を追究してみると、 どうも女性の仕事のやり方に問題があるようです。例えば簡単なシフトのローテンションを 考えるのに、 10分もあればできそうなことを3時間もかけてやっています。それも今までは考慮されていたアルバイト個人の事情が全く考慮されなくなり、 各自の負担感が増してしまったようです。新人の教育も親切で熱心にやっているのですが、職場で長年決まっていたルールを自分流にアレンジし、 他のアルバイトに相談することなく新人にだけ教えたりしたため、「やり方が違う」「誰に教わった?」というような問題が頻発するようになりました。 原因が女性だとわかり注意を受けたのですが、女性は問題が自分にあるのではなく、新人にあると思いこんでおり、 やさしく「独自のやり方」を繰り返し教え続けていて改善できません。強く注意を受けても、何が悪いのか理解できていないようです。

20代の男性会社員は学生時代に事故に遭いました。入社してから同期と一緒に様々な研修を受けて仕事を憶えていきましたが、 突出して憶えが悪く、 いつも上司をイライラさせていました。真面目に仕事を憶える気がないと思われているようです。 男性も記憶力に問題があることがわかっているのでメモを とるようにしていますが、仕事中にメモを見直したり、 メモを忘れたりすることもあります。上司に暑気払いの幹事を任された時は、会場の予約はしていたものの、 社員への連絡に時間がもれていたり、会費の案内がもれていました。当日も進行役ができず、見かねた上司が同期の男性に進行役を急きょ振りました。 現在は工場のラインの保守点検の部署にいますが、一つ一ついわれたことは確実にこなしますが、まとめて指示されたり、 手順を考えてやらなければならないことは、 一人ではできないようです。

脳の損傷部位と障害の関係

  • 1)前頭葉眼窩部の損傷
    社会性が失われ、過剰な興奮、攻撃的行動などがみられます。
  • 2)前頭前野内側部の損傷
    注意力や集中力の低下がみられます。
  • 3)前頭前野背外側部の損傷
    判断力や発動性の低下がみられます。
  • 4)大脳辺縁系の損傷
    感情を読み取ったり、感情を表す処理が障害され、コントロール力の低下がみられます。

行政による医療・福祉サービス提供のための診断基準

Ⅰ.主要症状等

  • 1.脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
  • 2.現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。

(※)第1項の受傷や発症の事実とは、器質的病変を生じた疾病と日時が特定できることを指します。第2項は、単に認知障害が認められるという事だけでなく、 それによって生活に支障をきたしているという事が必要です。

Ⅱ.検査所見

  • MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が 存在したと確認できる。

(※)通常のMRI、CTのほか、核医学による検査方法での確認も可能とされます。 び慢性軸索損傷のCT画像所見は期間の経過とともに消えていく傾向があるため、過去の診断書で器質的病変が確認できる場合も診断基準を満たすとされています。

Ⅲ.除外項目

  • 1.脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(Ⅰ-2)を欠く者は除外する。
  • 2.診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
  • 3.先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。

(※)第1項は例えば失語症は身体障害者手帳の対象となっているため、認知障害が失語のみである場合は除外するという事です。 失語症のほかに記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害がある場合は、除外されることはありません。 第2項は、高次脳機能障害の原因となる疾病の発症日以前から同じ症状をもっている場合と、発症日以前から確認されている画像所見は診断根拠としないということです。 第3項は別の支援体制の利用を予定するため除外されるものです。

Ⅳ.診断

  • 1.Ⅰ~Ⅲをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
  • 2.高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
  • 3.神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。

なお、診断基準のⅠとⅢを満たす一方で、Ⅱの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、 慎重な評価により高次脳機能障害として診断されることがあり得る。また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、 適時、見直しを行う事が適当である。

(※)参考書籍 journal of clinical rehabilitation v16-no1

自賠責保険における高次脳機能障害の診断基準

自賠責では対象疾患が頭部外傷に限定されています。高次脳機能障害は、脳血管障害、脳炎、脳腫瘍、低酸素脳症など、 外傷以外の原因でも発症する場合があることから、自賠責保険の後遺障害等級認定では、次のような点が確認されます。

  • (1)頭部外傷急性期における意識障害の程度と期間。意識障害の程度はJCS(ジャパンコーマスケール)やGCS(グラスゴーコーマスケール) などによって評価されます。 目安としてはJCSで3桁、GCSで8点以下の状態が6時間以上続くか、JCSが2から1桁、 GCSで13~14点の状態が1週間続くこととされています。
  • (2)家族や介護者や周囲の人が気づく日常生活上の問題があること。
  • (3)画像所見として、急性期における点状出血、クモ膜下出血などの異常所見、または、 慢性期にかけての局所的な脳萎縮とくに脳室拡大の進行が認められること。
  • (4)頭部外傷がなく、あるいは頭部外傷があっても、普段の日常生活に戻り、 その後数ヶ月以上を経て次第に高次脳機能障害が発現したようなケースにおいて、 外傷による慢性硬膜下血腫も認められず、脳室拡大の進展も認められなかった場合には、 外傷とは無関係に内因性の認知症が発症した可能性が高いものといえます。

Q&A

Q 記憶障害とはどんなものですか?

A 忘れ物をしたり、新しいことを憶えられなくなったりします。そのために約束を果たせなかったり、同じことを何度も繰り返し聞いたりします。

Q 注意障害とはどんなものですか?

A 注意力がなく、ミスが多くなります。二つのことを同時に進行させることが苦手になります。

Q 遂行機能障害とはどんなものですか?

A 自発性が低下します。計画的な行動が苦手になります。

Q 社会的行動障害

A 感情の起伏が激しくなります。場違いな場面で笑ったりします。他人の気持ちを思いやることができずに、人間関係に摩擦が生じたりします。

Q どのような検査があるのですか?

A ウェクスラー成人知能検査、ウィスコンシンカード分類検査などの神経心理学的検査。測定する能力によって、様々な検査方法があります。

Q 巣症状としての高次脳機能障害とはなんですか?

A 損傷した部位が限られている場合をいいます。限られていない場合を、巣症状以外の高次脳機能障害(びまん性軸索損傷)といいます。 前者では失行、失認、失語など、後者では認知障害と人格変化が典型的な症状といわれています。

Q 失行とはどういうことですか?

A 麻痺がないのに簡単な動作ができなくなります。例えばボタンかけなどの細かい作業が苦手になります。

Q 失認とはどういうことですか?

A 知っていたものなのに、触ってもそれが何か分からないとか、見ただけでは分からず、触ると理解できるなどの状態。

等級認定実務の限界

高次脳機能障害なのか、そうではないのかということは、受傷後の意識障害の程度や外傷後健忘の期間、頭部MRI、頭部CTなどの画像所見から判断されます。 それに医師の意見や被害者の日常生活状況を加味して等級が認定されるのです。 高次脳機能障害の後遺障害等級認定は、より高い精度で行うために、他の等級認定とは違い、専門の 「高次脳機能障害審査会」で行われます。 そのため認定の平等性や妥当性については、高いレベルで担保されているものと考えてよいでしょう。 しかし実際には、一般就労が可能とは思えないような被害者であっても、第9級にしか認定されないようなケースが多数見受けられます。

なぜ、認定されないのでしょうか?

審査会は、認定に必要な最低限の情報収集をして、書類上で等級を判断しています。被害者と面談をして状態を確認し、 それに見合った等級を認定するために積極的な情報収集をする、というところまではしてもらえないのです。したがって、実際の支障の度合いよりも、 低い等級しか認定されていないと考えられる場合は、 妥当な等級認定を受けるために、不足する情報を自ら補う必要があるのです。

どれくらいの症状がどの等級に該当するのか?

高次脳機能障害と診断されて、後遺障害等級認定の結果通知を受けた方が悩むのは、ご当人の等級が妥当なものなのかどうかということです。 高次脳機能障害の後遺症は、第9級、第7級、第5級、第3級、第2級、第1級のいずれかに認定されますが、 認定された等級よりも上位の等級に該当する可能性があるかどうかよくわからないという声を聞きます。

高次脳機能障害に現れる症状は多様です。そのために、等級に対応する症状の程度に関する基準も、抽象的な言葉でしか書かれておらず、 一望しただけでは、 個々のケースが具体的にどの等級に合致するものなのか、判断することが難しくなっています。 異議申し立てをすべきかどうかについては、先ずはこの問題をクリアにしなければなりません。 そのためには、被害者の生活状況や仕事の状況を観察し、詳細に把握することが必要です。 その上で、第何級が妥当なのかを考えていくことになります。

当事務所では多数の高次脳機能障害の被害者の方と面談をしておりますので、その等級が妥当かどうか、適切な助言をいたします。

異議申し立てに必要なこと

画像所見や全ての診断書等を見たうえで、ケースごとに考えていくことになりますが、 通常は後遺症の程度について証明すること、新たに検査を受けて、医師に診断書を書いていただくことなどが対策の中心となります。 診断書の内容は医師にお任せすることになりますが、どのような点に注意して、何を書けば良いのか具体的に思い浮かばない先生が多いため、 当事務所では被害者に合わせた書式の見本をお作りして、参考にしていただいております。

異議申し立てが認められる可能性はどれくらいありますか?とよく聞かれます。 しかしご本人や身内の方から僅かな情報をうかがっただけでは、判断はできません。 お話をうかがい、全ての診断書等を拝見して、どのような対策をとることができるか考えます。 そしてその対策がどの様な結果になるかによって、ようやくどの程度の可能性があるのかどうか 感触が出てくるといったようなことなのです。お話を聞いただけで「まず無理です」とか「たぶん大丈夫でしょう」 などといったことが判断できないのはそういう理由からです。

追加の画像検査は必要か?

「インターネットに書いてあった」「保険会社の人にアドバイスされた」「前に相談していた団体の人にいわれた」 「医師に勧められた」などの理由から、異議申し立てには 新たな画像診断が必要であると思いこんでいる方がいらっしゃいます。 確かに高次脳機能障害自体の発症が認められていない場合は、新たな画像診断を受けることになる可能性が高いでしょう。 ですが高次脳機能障害の発症は認められているが、等級が低すぎるという場合は、新たな画像検査は意味がない場合が多いです。 「何が必要な情報なのか」を、認定する側に立って考えることができなければ、効率のよい異議申し立てはできません。 どんなに最新の画像診断であっても「等級認定」には役に立たない場合もあります。 依頼先に提携医師を紹介されて、よくわからないままに無駄とも思える検査を沢山されたが、異議申し立ては結局失敗したというような話を何度か聞いています。 異議申し立ては必ず認められるというものではありませんが、当事務所では依頼者様には「なぜこの検査が必要か」 ということを明確にご説明するよう心掛けております。

医師任せの異議申し立て

異議申し立てをするにあたって、主治医の先生が積極的に計画を立てて検査をしたり、診断書を書いてくださったりということは通常はありません。 そうした対応までを期待するのは、医師に対して酷というものです。もしも積極的に的を得た対応してくださる先生にめぐり合えたとしたら、 それはかなり幸運なことといえるでしょう。異議申し立てを成功させるには同じ病院で追加の検査を依頼するのか、 別の病院でお願いするのか、画像診断は必要か、どのような検査をお願いしどのような診断書を望むのかなど、 ある程度被害者側で明らかにしておき、積極的に行動することがコツといえるでしょう。

当事務所のサポート内容
1.等級認定までの流れについて ・通院先の選択や治療内容について(他の傷病も含め)

・リハビリテーション

・社会復帰後にしておくべきこと

・症状固定期について
2.等級認定に求められること ・受けるべき検査の選択

・診断書について

・その他提出資料
3.必要な手続きと対策について ・診断書記載内容に漏れがないか

・その他提出資料の正しい書き方、揃え方

・自賠責保険への請求

高次脳機能障害 異議申し立ての事例

事例(1)

事故態様

22歳男子大学生が原動機付自転車運転中に、信号のない交差点でトラックと出合い頭衝突。衝撃でヘルメットは脱落。バイクごと30メートルほど滑走して停止。

傷病および治療経過

頭蓋骨骨折、脳挫傷、左肩脱臼骨折、肋骨骨折、大腿骨骨折、全身打撲等の傷害を負い、2ヶ月入院の後1年6ヶ月通院。運動機能は回復し、左肩部の痛みと 高次脳機能障害を残し症状固定となる。初回認定にて高次脳機能障害で9級、左肩部痛で14級、併合9級となる。通院中一般企業に就職するが、1年で退職。 記憶障害が主な原因と疑われる。

異議申し立て

高次脳機能障害9級の認定を受け、等級が低すぎるのではないかという事でご両親より相談。 聞き取り調査により5~7級該当の可能性が認められるため、異議申し立てを行う事に。 今までの診断書および検査情報等を確認し、不足する情報、補強すべき情報などを整理し、ひとつずつ対策を進める。 医療機関の協力も得て、最終的に4つの対策を実行し、異議申し立てを行い、第7級に認定された。

事例(2)

事故態様

24歳男子会社員が友人の車に同乗中に自損事故で電柱に衝突。車は大破し1時間後にレスキューに救出される。友人は即死。

傷病および治療経過

頭部を強打し頭蓋骨陥没骨折、脳挫傷、左鎖骨骨折、肋骨骨折等で3ヶ月間意識不明の後、奇跡的に回復する。 記憶障害、発動性低下、嗅覚脱失等の後遺症が残り、高次脳機能障害は第9級に認定される。 事故前に勤務していた職場は退職し、回復後、新たにルートセールスの仕事に就く。道が覚えられない、伝票入力を間違える、間違えたことに気がつけないなどの症状があり、 職場で孤立しており、退職を考えているとのこと。

異議申し立て

聞き取り調査により5~7級該当の可能性が認められた。新たな医療機関の受診、面談を行い、治療・リハビリと異議申し立ての 方針を決定。一年後に異議申し立てを申請。添付資料として意見書、画像、その他を提出。第5級に認定される。

事例(3)

事故態様

38歳男子会社員が路上で佇立中に、前方不注意の乗用車に衝突されフロントガラスに頭部を強打。

傷病および治療経過

頭蓋骨骨折、脳挫傷、脳びまん性軸索損傷等で8ヶ月入院。記憶障害、人格の変化等が残り、高次脳機能障害で第9級に認定される。 1年半後に会社に復職するが、事故前の工場ラインの管理の部署はミスが多く、1ヶ月で配置転換された。現在は総務部所属となったが、 雑用しか任されなくなったとのこと。温和な性格だったが、職場でも家庭でも執着心が強くなり、些細なことで不機嫌になり、怒りっぽくなった。

異議申し立て

第9級に認定された後、勤務先からの照会で奥様が相談に来所された。本人に障害の話をしても、取り合おうとしない。以前はなんでも話を聞いてくれたが、 これも事故のせいではないかと感じている。ご本人のご両親も人格の変化に驚き、悲しんでいる。奥様とご両親から聞き取りを行い、ご自宅でご本人とも面談。 結果、現実と診断書等の内容に乖離が認められた。医療照会の他、必要と思われる対策を実施し、2か月後に異議申し立てを行い、第7級に認定された。

事例(4)

事故態様

30歳女子アルバイトが乗用車運転中に、カーブをはみ出してきた対向車と正面衝突。

傷病および治療経過

脳挫傷、外傷性くも膜下出血で2週間入院。頭痛、記憶障害等が残り、後遺障害の認定を受けるが非該当。 アルバイト先でミスが多くなった。新しい仕事を憶えられなくなったなどの自覚症状がある。ご両親がご本人運転の車に同乗したところ、 運転がぎこちない、駐車が上手くできない、道を間違えるなどのことがあり、運転はやめさせた。自宅で料理をする時も要領が悪くなったなどの症状がある。

異議申し立て

ご両親より相談を受け、初回認定資料を検討したところ、情報不足が明らかとなった。 そのため医師に検査および診断書作成依頼を行った。その他、必要な対策を実施し、3か月後に第9級に認定された。

高次脳機能障害の画像所見

高次脳機能障害を引き起こす頭部外傷による脳損傷は、局所性(局在性)脳損傷とびまん性(広範性)脳損傷に分けることができます。 局所性脳損傷の場合は、脳挫傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫がみられ、CTでそれらの病変が認められることが多いといわれます。 びまん性脳損傷の場合は、脳浮腫やくも膜下出血が見られることがありますが、CTでは異常が見つからず、後にMRIによって大脳白質の 病変を判定する事もあるそうです。CT、MRIの他にも、SPECT、PETなどが行なわれる場合もあります。 こういった検査から必要に応じ、脳室拡大、脳梁の萎縮、脳幹の損傷、深部白質損傷、脳内出血、脳血流低下、滑走性脳挫傷などを読み取り、 評価が行われることとなります。

MRI

MRI画像・・・様々な画像検査法が存在しますが、通常はCTやMRIで事足ります。


脳血流スペクト・・・血流の低下状況が画像でわかります。


MRI拡散テンソルトラクトグラフィー・・・神経線維を画像化します。
※最新の画像検査法も万能ではありません。「異議申し立てには、必ず新たな画像所見が必要」というのは間違った認識です。 新たな画像がなくとも、他の要件がそろえば上位等級に認定されます。例えば写真のMRI拡散テンソルですが、 この検査結果が、異議申し立ての結果を常に大きく左右するというものではありません。 高次脳機能障害で後遺障害等級が認定されるには、もちろん画像所見は必要ですが、個々のケースにおいて、妥当であろう等級に認定されなかったのは、 何が原因なのかということを、よく考える必要があります。 画像所見を偏重することは間違いです。 いくら最新の検査を受けても、方向性が間違っていれば、何度異議申し立てをしても妥当な等級は認められないでしょう。 間違った情報に振り回されないようにしてください。

意識の評価

頭部外傷後に意識障害が起きることがありますが、その程度を客観的に測定するためのスケールです。 JCSが3桁、GCSが8点以下の状態(昏睡~半昏睡で、開眼・応答しない状態)がすくなくとも6時間以上続く場合、 もしくはJCSが2桁、GCSが13~14点(健忘症あるいは軽度意識障害)の状態が少なくとも1週間以上続いた場合は、 高次脳機能障害の特定事案としてより慎重な検討が行われます。

ジャパン・コーマ・スケール(Japan coma scale)

Ⅰ. 刺激しないでも覚醒している状態
  1.大体意識清明だが、今ひとつはっきりしない
  2.見当識障害がある
  3.自分の名前、生年月日がいえない

Ⅱ. 刺激すると覚醒する状態-刺激をやめると眠り込む-
  10.普通の呼びかけで容易に開眼する
  20.大きな声または体をゆさぶることにより開眼する
  30.痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼する

Ⅲ. 刺激をしても覚醒しない状態
  100.痛み刺激に対し、はらいのけるような動作をする
  200.痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
  300.痛み刺激に反応しない

グラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow coma scale)

大分類 小分類 スコア
開眼(E) 自発的に E4
言葉により
痛み刺激により
開眼しない
言葉による最良の応答(V) 見当識あり V5
錯乱状態
不適当な言葉
理解できない声
発声が見られない
運動による最良の応答(M) 命令に従う M6
痛み刺激部位に手足をもってくる
四肢を屈曲する  
逃避
異常屈曲
四肢伸展
全く動かさない

神経心理検査

高次脳機能障害には認知障害、人格変化、注意障害、遂行機能障害などの様々な症状があるため、その程度を客観的に測るための検査も いくつか存在します。しかしこれらの検査による評価は絶対的なものではなく、テストの結果と後遺障害等級認定の結果は同調しているわけではありません。

<知能テスト>
長谷川式簡易痴呆スケール改訂版(HDS-R)
MMSE
WAIS-R(ウェクスラー成人知能検査)
コース立方体組み合わせテスト
RCPM(レーヴン色彩マトリックス検査)など

<言語機能のテスト>
標準失語症検査(SLTA)
WAB失語症検査など

<記憶検査>
WMS-R(日本版ウェクスラー記憶検査)
Benton視覚記銘検査
日本版リバーミード行動記憶検査
三宅式記銘検査など

<遂行機能検査>
WCST(ウィスコンシン・カード・ソーティングテスト)
FAB
TMT
BADSなど

日常生活状況報告表の質問内容

患者本人ではなく、家族または介護者が記入します。

 1.食事は1人で食べることができますか
 2.トイレは1人で使うことができますか
 3.衣服を1人で着ることができますか
 4.小便をもらしますか
 5.間に合わずに小便をもらすことがありますか
 6.大便をもらしますか
 7.入浴は1人ですることができますか
 8.何をするにも指示が必要ですか
 9.洗顔や整髪を1人ですることができますか
10.家の中を1人で移動することができますか
11.1人で外出することができますか
12.1人で買い物をすることができますか
13.金銭の管理をすることができますか
14.かかってきた電話の内容を伝えることができますか
15.1人で電話をかけることができますか
16.人の話を聞いて、すぐに理解できますか
17.自分の考え方を相手に伝えることができますか
18.他人と話が通じますか
19.家族と話が通じますか
20.なめらかに話が通じますか
21.話がまわりくどいですか
22.適切な表現を使えますか
23.今日は何月何日かわかりますか
24.同じことを何度も聞き返すことがありますか
25.数分前の出来事や聞いたことを忘れますか
26.昨日の出来事を覚えていますか
27.事故以前のことを覚えていますか
28.知り合いの人の名前を忘れがちですか
29.一桁の足し算はできますか
30.簡単な買い物での釣り銭の計算はできますか
31.手順とおりに作業ができますか
32.新しいことを覚えて身につけることができますか
33.1人で物事の判断ができますか
34.一度気になるとこだわってしまいますか
35.ひとつのことを続けることができますか
36.すぐに泣いたり怒ったり笑ったりしますか
37.わずかなことで興奮しますか
38.わずかなことでいらいらしますか
39.興奮すると乱暴しますか
40.場所をわきまえずに怒って大声を出しますか
41.家族や周囲の人とトラブルが多いですか
42.すべて自分中心でないと気にいらないですか
43.わけもなくはしゃぐことがありますか
44.気分が沈みがちですか
45.家に閉じこもることがありますか
46.大きな音などをうるさがりますか
47.めまいやふらつきがありますか
48.支え無しに立っていることができますか
49.歩くとふらつきますか
50.右手が不自由で動きませんか
51.左手が不自由で動きませんか
52.右足が不自由で動きませんか
53.左足が不自由で動きませんか
54.その他支障がありますか

脳外傷による精神症状等についての具体的な所見

主治医が記入します。主な項目は次のとおりです。

a.物忘れ症状
b.新しいことの学習障害
c.短気、易刺激的、易怒性
d.粘着性、しつこい、こだわり
e.飽きっぽい
f.感情の起伏や変動がはげしく、気分が変わりやすい
g.集中力が低下していて、気が散りやすい
h.感情が爆発的で、ちょっとしたことで切れやすい
i.性的な異常行動・性的羞恥心の欠如
j.発想が幼児的で、自己中心的
k.多弁、おしゃべり
l.話がまわりくどく、話の内容が変わりやすい
m.計画的な行動を遂行する能力の障害
n.行動が緩慢、手の動きが不器用
o.複数の作業を並行処理する能力の障害
p.自発性や発動性の低下があり、指示や声かけが必要
q.暴言・暴力行為
r.行動を自発的に抑制する能力の障害
s.服装、おしゃれに無関心あるいは不適切な選択
t.睡眠障害、寝付きが悪い、すぐに目が覚める
u.社会適応性の障害により、友達付合いが困難
v.人混みの中へ出かけることを嫌う
w.妄想・幻覚

軽度外傷性脳損傷(MTBI=Mild Traumatic Brain Injury)の判例

高次脳機能障害として後遺障害等級認定がされる一般的な要件として、事故当初の意識障害の有無と、頭部CT等による画像上の異常所見が挙げられます。 従来、事故後の意識障害がなく、頭部画像において脳の損傷を示唆する所見がなければ高次脳機能障害として等級認定されることはありませんでした。そういったケースでは 仮に高次脳機能障害と同様の症状が残ったとしても、14級とか12級という低い等級しか認められず、被害者にしてみれば、「妥当な補償がされない」という問題が起きていました。 平成18年5月26日札幌高裁判決は、頚椎捻挫を負う程度の追突事故において高次脳機能障害の症状を呈した中学生が、事故当時、明確な脳損傷が確認されず、 頚椎捻挫と診断されていただけにもかかわらず、第3級3号の後遺障害に該当すると認定した注目すべき判決です。

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