あなたの後遺症は第何級になる?
障害部位をクリックすると該当する等級がわかります
- むち打ち症など ~頚椎・腰椎捻挫、外傷性頚部症候群、椎間板ヘルニア
- 脳・脊髄の障害(神経・精神) ~脳挫傷、くも膜下出血、脊髄損傷、頚髄損傷
- 視力・まぶたの障害 ~視神経損傷、眼底骨折
- 聴力の障害・耳鳴り ~聴神経障害、側頭骨骨折
- 嗅覚障害 ~嗅神経損傷、脳挫傷
- 咀嚼・言語・歯・味覚障害 ~顎部の外傷、脳挫傷
- 傷あと(醜状痕) ~挫滅創、切創
- 呼吸器・循環器・生殖器の障害 ~胸腹部への外傷
- 脊柱・体幹骨の障害 ~頸椎・胸椎・腰椎や鎖骨・肋骨等の骨折
- 手・腕・肘・肩の障害 ~骨折、靭帯損傷、腱板損傷
- 足・膝・股の障害 ~骨折、靭帯損傷、半月板損傷
等級認定されることのメリット
これだけ違う損害賠償金
等級認定の成否は、損害賠償請求をおこなう上で重要な意味を持ちます。慰謝料や逸失利益は、後遺障害等級に応じて金額が大きく変わるからです。
- ▼ 事例・判例
- ■後遺障害賠償金の一例 30歳男性(年収400万円の慰謝料と逸失利益)の場合
- □むち打ち症で14級なら190万円、12級なら700万円
- □膝の痛みと機能障害で14級なら190万円、12級なら1200万円
- □高次脳機能障害で9級なら3000万円、7級なら4700万円
デメリットは?
後遺障害の認定がされることで、就職などに不利になるのではと心配される方がいらっしゃいます。 確かに履歴書に後遺障害等級のことを書けば、マイナスポイントとして不利に働く可能性は否定できませんが、 そのために等級認定を受けないと、適切な損害賠償請求ができなくなりますので、後遺障害等級認定はきちんと受けておくべきです。 当事務所の知る限り、むち打ち症で14級に認定された方に関していえば、ほとんどの方は就職(転職)の際に特に申告はしておらず、 それによって就職後に不利益を被ったということも聞いておりません。反対に、高次脳機能障害などの方の場合は、申告せずに上手く就職できても、 仕事の中で様々な支障がでてきて、退職を余儀なくされるケースが多いです。
交通事故による後遺障害とは?
次の全ての条件に該当するものだけが自賠責保険の後遺障害として認定されます。
- (1)交通事故により受傷した傷害が治ったときに、精神的または肉体的な毀損状態が残っていること
- (2)事故と後遺障害の間に因果関係が認められること
- (3)障害の存在が医学的に認められること
- (4)自賠法施行令別表の後遺障害等級表または備考6の規定に該当するものであること
自賠法施行令別表には、14等級、140種程度の後遺障害が規定され、次のように各等級ごとに保険金額が定められています。
別表第1 | 保険金額 |
---|---|
第1級 | 4000万円 |
第2級 | 3000万円 |
別表第2 | 保険金額 |
第1級 | 3000万円 |
第2級 | 2590万円 |
第3級 | 2219万円 |
第4級 | 1889万円 |
第5級 | 1574万円 |
第6級 | 1296万円 |
第7級 | 1051万円 |
第8級 | 819万円 |
第9級 | 616万円 |
第10級 | 461万円 |
第11級 | 331万円 |
第12級 | 224万円 |
第13級 | 139万円 |
第14級 | 75万円 |
等級によって支払われる金額が大きく異なるため、様々な資料が検討され、公正な審査が行われています。 このように、後遺障害等級の認定は、自賠責保険の公平な支払いのために行われている仕組みの一つなのです。
自賠責保険の後遺障害等級認定には様々な欠点がありますが、現状これに勝る後遺障害の評価方法も存在していないため、 損害賠償請求においても、自賠責保険の等級評価がそのまま尊重されて話し合いが進められることが普通になっています。
後遺症と後遺障害
後遺症とは、傷病の初期の急性症状の治癒後、長く残存する障害のことを指す言葉です。たとえば交通事故で腕を骨折した被害者の中には、ほぼ完全に事故以前の状態に回復する 人もいれば、腕の機能に可動域制限などの障害を残してしまう人もいるわけです。この残った障害のことを後遺症といいます。 生活の中で自分の不注意で怪我をし、後遺症が残った場合は、特にその後遺症を細かく分類する必要はありません。 しかし交通事故などの第三者の不法行為によって後遺症を抱えることとなった被害者には損害賠償請求権があります。損害賠償請求は金銭賠償が原則ですので、 損害額の算定のためには、後遺症をある程度客観的に測る指標が必要とされます。
後遺症の状態は人によりそれぞれです。肘の関節が1~2度曲がらなくなった人もいれば5度曲がらなくなった人、10度曲がらなくなった人もいます。骨折部に痛みが残ったが、 ほとんど気にならない程度の人もいれば、激痛のため動かすことさえままならない人もいます。そうした状態をすべて客観的に公平に評価することは不可能であるため、自賠責保険では 実務処理の要請から様々な後遺症の状態をかなり大雑把に分類し、140程度の種類、14段階の等級に整理しています。 このように「後遺症」をランク付けしたものが「後遺障害」であると理解すればよいでしょう。 交通事故の後遺症について調べていると「後遺症」という言葉と「後遺障害」という言葉が出てきますが、一般の方がその意味を分けて考える必要性はありません。 「後遺症」という一般的な概念の中に、 労災保険や自賠責保険、交通事故の損害賠償請求を行うために便宜上定められた等級による分類がなされたものが「後遺障害」であるということです。
治らなければ後遺障害か?
後遺症とは「もう治らない」状態を指すものですが、これが様々な問題を引き起こします。
医師は「これ以上治療しても大きな変化はない。症状固定といってもよい状態」といい、 保険会社は「もう治らないのだから症状固定です。保険で治療費を支払えるのはここまでです。あとは後遺障害の認定を受けてください。」といいます。 被害者は「まだ痛むが、保険会社はもう治療費を支払えないというし、後遺症が認定されれば別に保険金が出るというから治療をやめよう。」と考えます。 そして等級認定をする調査事務所は「このケースでは将来においても回復が困難と認められる障害とはいえない」と、非該当の判断を下すのです。
つまり「医師や被害者が後遺症が残っており、もう治らない」と考えたとしても、 一定の要件が備わっていなければ、調査事務所は「自賠責保険でいうところの後遺障害とはいえない」と判断します。 それでは痛みがなくなるまで治療を続けることができるのかといえば、 法的には症状固定となれば、たとえ痛みが残っていても、それが後遺障害として認定されることがなくても、 それ以降の治療費の請求はできないことになっているのです。 一度症状固定としたからには、後遺障害が認定されなかったといっても、それを撤回して治療費の支払いを再開させることは困難ですから、症状固定日は慎重に決める必要があります。
症状が重ければ後遺障害か?
「後遺症のため仕事ができず、解雇された」「症状のため家事もできず、一日横になって過ごすことが多い」 このように交通事故により重い症状を訴える被害者は少なくありませんが、それでも後遺障害等級は「非該当」とされる人は大勢います。 後遺障害が認定される条件として、一定程度の障害の存在は当然のことといえますが、それのみでは認定されない場合があるのです。 よくあるケースとしては、頸椎捻挫の後に重い症状が残ったが、認定結果は非該当だったというものです。 非該当の原因としては、症状の存在や永続性について、医学的な証明が困難ということが多いので、これに対する対策が必要となります。
認定されれば症状の永続性が保証されるのか?
調査事務所は後遺障害等級の認定において「将来においても回復が困難と認められる」ということを条件としています。 つまり回復する見込みのある神経障害等は、後遺障害として認めないという建前にしているのです。 しかし一定程度の神経障害というものは、長い年月をかけて少しづつ回復していく、あるいは慣れてきて、いずれ障害とは感じなくなってくるというのが、 裁判所の考え方です。そのため第14級の神経障害における逸失利益の請求は、ほとんどが5年以内分しか認められていません。 後遺障害に認定されたからといって、症状の永続性が認められるとは限らないのです。
後遺症の認定に必要な条件
基本的な条件
事故との因果関係が認められること
事故と後遺症の間に因果関係が認められなければ、後遺障害としては認定されません。自賠責保険では因果関係がはっきりせず不明な場合は、50%減額で認定される場合もあります。
時間的な近接性
事故発生から、症状の発症までにどれくらいの時間がかかったかという事です。 外傷による症状は必ずしも事故直後から全てが出揃うものではありませんので、傷病別に検討する必要があります。 例えば骨折は事故の瞬間に起こるのが通常でしょうが、バレーリュー症候群や外傷性神経症などは、ある程度の期間を経過してから診断されるのが普通です。 ある症状がいつ発生したかについては、医師の診断により決まります。
事故態様
どのような事故にあって、どのような怪我をしたのかという事です。事故の衝撃の程度は、ごく軽微なものから、横転、転倒、飛翔、落下など強い衝撃 を受けたことが明白なものまで様々です。 例えば軽微な追突事故では、頭蓋骨骨折とか大腿骨骨折のような重傷を負う事はないはずです。 実際にそのような怪我をしていたとすると、追突以外の別の原因が働いていたと考えるのが自然ですので、因果関係は認められにくいです。
後遺障害といえる症状の存在
症状が残っていても、そのすべてが「後遺障害」として等級がつくわけではありません。 ある程度の強さや継続性が認められて、はじめて認定されることになります。
外傷に見合う症状
ある外傷を受けた時に発症する症状というのは、医学的に見ればある程度の法則性があります。例えば歩行中に車のタイヤに右足を踏まれた場合に、 左足に痛みを感じて後遺症と認定されることは困難です。軽いむち打ち症で排尿障害が起きたり四肢麻痺となった場合も、外傷からきている症状と みることは難しいでしょう。
症状の永続性
治る見込みのある症状であれば、後遺障害とはならないのが基本です。例えばほとんど気にならないほど軽微な痛みであるとか、 寒い時期にだけ少しでてくる痛みなどは、自然的経過により治癒するとみられ、後遺障害となることはないでしょう。 強い症状であっても緩解の見込みがある段階では、やはり認定されない可能性が高いです。
他覚的所見の有無
見た目が明らかな後遺障害(手足の切断や醜状障害など)は、その存在に医学的な説明は不要とも考えられますが、 見た目では分からない精神・神経症状や機能障害などは、他覚的所見によって後遺症の存在が説明できることが認定の条件となります。
画像による異常所見
レントゲン、MRI、CTなど、画像検査により骨や軟部組織に損傷が確認できるかどうかは、後遺障害等級認定上、重要なポイントとなります。
その他の異常所見
画像検査で全てがわかるわけではありません。画像以外の電気生理学的検査、神経学的検査などもポイントとなります。
妥当な等級に認定されるには
医師とのコミュニケーション
後遺障害認定に医学的な情報は欠かせません。そのため医師とのコミュニケーションが正常な状態で行われていないと、 思わぬ不利益を被る可能性があります。
医師を選ぶ
医師にもいろいろなタイプの人がいます。患者の話をよく聞いてくれる人、患者の目も見ず、何も聞こうとしない人、症状や原因の説明をしてくれる人、 してくれない人。どのタイプがいいのか一概にいえるものではないと思いますが、経験上患者への接し方が丁寧な先生は、診断書の書き方も丁寧な場合が多いです。 ぶっきらぼうな先生だからといって、診断書の書き方も適当という事はありませので過剰な心配は不要ですが、 中にははじめから「痛みは気のせい」「放っておいてもそのうち治る」などと言い放つタイプの人もいます。 そういう人は概して診断書もまともに書けませんので、転院を考えた方がよいかもしれません。
過剰な期待は禁物
医師とのコミュニケーションは大切ですが、医師に余計な負担をかけないようにしなければなりません。 医師の仕事は治療であって、診断書の作成などは付随する業務に過ぎません。診断書を書くことは医師の義務であるにしても、後遺障害の認定の成否は、本来 医師には何の関係もないことです。そこを理解せずに後遺症の認定を手伝ってもらうという姿勢で医師と接するべきではありません。 医師に過剰な期待をすると敬遠されます。
例えば「先生、私は交通事故のために仕事も失い、離婚して家族も失いました。このうえ後遺症が認定されなければ 、もうどうすればいいのかわかりません。何とか認定されるようにお願いします。」と頼みこまれた医師は、 「できれば何とかしてあげたいのは山々だが、嘘の診断書は書けないし、困ったな。 認定されないと私のせいみたいになってしまうなあ」というように考え、なるべく深入りしないようにするでしょう。 もちろん親身になってくれる先生もたくさんいらっしゃいますが、医師は後遺症の認定に関しては特別知識を持っているわけではありません。 具体的に何をどうすればベストなのか、わからないのが普通なのです。 ですから過剰な期待をしては申し訳ないですし、それが原因で等級認定に失敗することにもなりかねません。
医師に求めること
後遺症の認定に関することを包括的にお願いすべきではありません。医師に門前払いされてしまう可能性があります。 医師には医学的な判断を個別にしていただくようにしましょう。 具体的には「こういう検査をして、診断書には結果をこのように書いて欲しい」「この症状について、先生のお考えをこの例のように書いて欲しい」 など、実施して欲しい検査や書いて欲しい内容を具体的に指定するようにした方が、医師の負担が少なくなり、話を聞いてくれるようになるはずです。
ただし認定に必要な検査や診断書の記載事項などを指定するには、相応の知識と経験が必要になります。 この部分は専門家に頼ったほうが確実だと思います。
損保担当者のいう事全てを鵜呑みにしない
信頼できる人もいますが、被害者とは利益相反する立場であることを忘れてはいけません。にわか仕込みの知識しか持たない 担当者さんも多いです。
信頼できる人も
後遺症の認定について一生懸命にアドバイスをしてくれる加害者側の損保担当者の方もいます。特に重症事故の場合はその比率は高いです。 しかし親身になってくれているからといって、全面的に頼ってしまうのは間違いです。損保担当者の方の中には、 後遺障害認定について深い知識を持っている人もいますが、全く知識のない人が大勢います。親切だからと思って信頼していた人が、 全く知識のない人だった場合は、成行きに任せているのと同じことになってしまいます。
保険会社の立場
保険会社は窮地にある被害者を救済するために、適正な損害賠償金を迅速に支払うという意義ある仕事を行っている反面、 過剰な支払いを防止するために厳しい査定も行わなければならず、常に公平でバランスのとれた対応が要求されています。
保険会社の対応に満足している被害者も多いはずですが、本当に酷い対応をする担当者も数多く存在しています。 「そんな人ばかりではない」という事をお断りした上で、実際によく遭遇するずさんな対応の例をいくつかご紹介します。
- □通院3ヶ月目で、何の前触れも断りもなく、治療費の支払い拒否の通知文が届いた。
- □「医師に確認したら、もう治療は必要ないといっていた」と嘘をつかれた。
- □他の病院に転院することは認められないといわれた。
- □むち打ち治療は長くても6ヶ月で終わりといわれた。
こうした担当者にどう対応すればよいかわからない被害者は、気がつかない間に、次第に不利な方向へと追いやられていきます。 そして後遺症が残っても等級認定されず、安い慰謝料で示談をせざるを得なくなり、泣き寝入りを強いられるのです。
ネット上の情報に振り回されない
勘違い
ネット上には本当の情報もたくさんありますが、体系的に学んでいない人がそれらを斜め読みして理解しようとすると、必ず大きな勘違いをします。 勘違いが実害を引き起こさないレベルのものであればよいのですが、一度誤った対応をすると、後でフォローするのが困難になることもたくさんあります。 例えば未熟な知識で医師に対してあれこれと注文をして診断書を書いてもらったが、 専門家の目から見ると的がずれている内容になっているという事があります。 あらためて別の診断書をお願いに行っても、医師に断られてしまう可能性があります。
専門家の役割
体系的に学んだ知識と経験から、依頼者様を適正な方向にお導きします。インターネットから情報収集する場合もありますが、その情報が 依頼者様のケースに当てはまるものなのか、当てはまるとしてどのように活用すべきものなのか、適切なアドバイスを行います。 そのため成功する確率が上がります。