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腱板・TFCC損傷

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大腿骨・膝

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鎖骨・臓器

資料

醜状障害

臓器

資料

眼 耳 鼻 口

歯牙

  1. 脳や脊髄などの中枢神経系の障害
  2. 脳外傷による高次脳機能障害
  3. 四肢麻痺・脊髄損傷・頚髄損傷の後遺症
  4. PTSD
  5. RSD (CRPS)(反射性交感神経萎縮症)
  6. うつ(鬱)と後遺症
  7. 脊髄損傷
  8. 診断基準と認定基準
  9. 異議申し立てに必要なこと

脳や脊髄などの中枢神経系の障害

脳挫傷、くも膜下血腫、硬膜下血腫、脊髄損傷などの障害を負った時に残る場合が多い後遺障害です。

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの別表第1 第1級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの別表第1 第2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの第3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの第5級2号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの第7級4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの第9級10号

 

脳外傷による高次脳機能障害

頭部に重篤な傷害を負い意識不明となったにもかかわらず、一見問題のない状態まで回復することがあります。 ところが事故前とは人格が変わってしまったり、記憶力に問題が生じていたりして周囲との摩擦が絶えず、退院後の日常生活や仕事に多大な支障をきたしている場合があります。 こういった障害は従来見落とされがちで、自賠責による後遺障害等級認定もその基準が明確でなく、実態に即した認定がされない場合があるという問題点がありました。 そのため現在では高次脳機能障害による後遺障害等級認定は特別に設けられた高次脳機能障害専門部会で審議が行われています。 脳外傷による高次脳機能障害の典型的な症状は認知障害(記憶、記銘力、注意力)、行動障害(状況に応じた適切な行動ができない、ルールを守れない)、人格変化(易怒性、 幼稚性、自発性の低下など)などです。

等級

高次脳機能障害の後遺障害等級は、程度により1級、2級、3級、5級、7級、9級と分かれます。これらには次のような目安があります。1級は身の回り動作に全面的な介護が 必要。2級は一人で外出することができず、日常生活の範囲は自宅内に限定されている。3級は自宅周辺を一人で外出でき、声かけがなくとも日常の動作を 行なえる。認知障害等が著しく就労は困難。5級は単純繰り返し作業などであれば就労は可能だが、新しい作業を学習できないなどの制限がある。7級は一般就労を 維持できるがミスが多く、一般人と同等の作業はできない。9級は一般就労を維持できるが、効率や持続力に問題がある。

自賠責保険の後遺障害等級表では、別表第1の第1級では常に介護を要するもの、第2級では随時介護を要するものとされており、これらの 等級の場合は損害賠償請求でも将来の介護費用も認められる場合が多いです。しかし3級以下の等級の場合は、自賠責の文言上では介護を要さないこととされており、保険会社の対応も 介護費用を認めようとしないケースが多いです。しかし現実には高次脳機能障害の人を家で一人で留守番をさせたりすることには危険も多く、看視が必要な場合もあります。 その様なケースでは積極的にその費用も求めていくべきだと思います。

等級別の損害額の違い

等級の違いによって、損害賠償額はどれくらい違ってくるのか、被害者が平均的な25歳男性会社員だった場合を想定して、後遺障害分の損害額を試算してみました。

  • 第9級=4200万円
  • 第7級=6700万円
  • 第5級=9300万円

このように、等級の違いによって、損害賠償額も大きく違ってきます。等級が妥当なものかどうか、必ず検討しましょう。

四肢麻痺・脊髄損傷・頚髄損傷の後遺症

脊髄とは脊柱(背骨)に収まっている太い神経の塊のようなものです。その太さは1センチ程度で、脳から腰のあたりまで伸びており、中枢神経ともいいます。 脊髄から末端へ伸びている神経のことは、中枢神経に対する言葉として末梢神経といいます。脳がその部位によって司る機能が異なるのと同様に、脊髄も部位によって伝達するものが異なっています。 おおまかには、外側には下肢への運動や知覚を伝達する線維があり、中心部には上肢への線維があるといわれています。 頚髄を損傷すると、麻痺が残ることがあります。両上肢、両下肢ともに麻痺するのが四肢麻痺、両上肢または両下肢が麻痺するのが対麻痺、片側の上肢または下肢が麻痺するのが単麻痺です。

等級

脊髄が損傷した場合の後遺障害等級は、第1級、2、3、5、7、9、12級に割り振られます。 損傷を受けた高位によって、症状が異なります。例えばC1~C3位に損傷を受けると、四肢麻痺のほか、呼吸も困難になるため、人工呼吸などの処置が必要となります。 C4の損傷では四肢は麻痺するが、自発呼吸は可能といった具合です。 ざっくりとした言い方をすれば、 第1~3級は四肢麻痺の場合、対麻痺(両方の上肢または下肢の麻痺)の場合は第1~5級、単麻痺(片側の上肢または下肢の麻痺) の場合は第12級~5級の間ということになります。 しかし実際は、脊髄損傷とか頚髄損傷という診断がされた場合でも、 これらの等級に認定されないケースが沢山存在しています。中でも多いのが「中心性脊髄損傷」でしょう。 追突事故によるむち打ち損傷程度の被害者にも、この診断名がつけられることが多いです。

下図は脊椎(C1~C7)を示しており、脊髄神経の高位(C1~C8)とはずれがありますが、一般には大体同じことだと理解していても差し支えないでしょう。

頚髄

難しい等級認定

本当に事故によって脊髄が損傷していることが確認できれば症状に応じた等級が認定されるのは当然のことですが、 医師が診断名を付けるときは、自賠責保険の後遺障害等級認定で 要求される要件を意識してつけるということはないため、 中心性脊髄損傷という診断名がつけられても、認定結果は「非該当」とされることは沢山あります。 「脊髄損傷」という重そうな傷病名に惑わされないようにしてください。中心性脊髄損傷という診断がされる場合は、上肢の症状が強く出ていて、 下肢の症状があまり出ていないことが多いと思われます。こんなときに被害者は、自分のケースが第何級に該当する可能性があるのか、 ある程度把握しておくことが大切です。自賠責の基準では到底中心性脊髄損傷とはいえず、第14級程度のものなのか、 それとも異議申し立てにより12級以上の等級に認定される程度のものなのか、そもそも非該当でも仕方がないケースなのか。 それを見極めなければ正しい対策が立てられずに、無駄な検査などを繰り返すことにもなりかねないからです。それを判断するには、 今までにどのような検査をし、どのような結果が出ており、どういう症状が出ているのかを検討しなければなりません。 中心性脊髄損傷と診断されてお悩みの方は、なるべく早い時期に弊事務所にご相談ください。 あなたのケースが重い後遺障害に該当する可能性があるのかないのかを見極め、妥当な等級認定がされるようにお導きいたします。

【事例】 頚髄損傷で第1級に認定

被害者様のご家族からご依頼をいただきました。2か月前の交通事故で四肢麻痺となり、入院が続いている状態です。 この事案では当事務所の関与がなくても、ほぼ間違いなく第1級に認定されると考えられました。ご家族も、等級を確実に認定させてほしいという事よりも、 症状固定時期であるとか、休業損害の請求手続きであるとか、将来の入院費はどうなるのかなど、先の事が全く分からず不安が大きいため、総合的なサポートを お願いしたいというご希望でした。

約一年後に症状固定となり、被害者請求を行いました。当初の予定通り第1級に認定されましたが、当事務所の関与はほとんどなしに認定されましたので、 後遺障害認定サポートの報酬としては5万2500円のご請求でした(後遺症以外のご相談料や書類作成料は別にご請求させていただきました。)。 当初ご家族は、最終的には弁護士に委任するお考えでしたので、当事務所よりご紹介する予定でしたが、被害者様ご自身の過失を考えると、 費用対効果の面でかなり厳しくなるため、ご自身で交渉される方針に切り替わりました。当事務所で裁判例や論文を検索、ご提供し、 ご家族のご希望とおりの請求額の損害賠償請求書作成のお手伝いをさせていただきました。最終的には、ほぼ請求額とおりの金額が認められたそうです。

労災のアフターケア

労災では脊髄損傷となった者に対して、症状固定後にも後遺症の程度に増減・変動をきたしたり、付随する疾病を発症させる恐れのあるときは、 その予防の措置を講じるための給付をなし、社会復帰の促進を図っています。主にじょくそう処置や尿路措置、薬剤の支給が行われます。

PTSD

Post-Traumatic Stress Disorder=心的外傷後ストレス傷害 日本では、阪神大震災や地下鉄サリン事件でその名をよく聞くようになりました。 通常ではありえないような、ショックの大きい体験をした人が、自分の意思とは無関係にその出来事を繰り返し思い出したり(フラッシュバック)、不眠や怯えなどに悩まされる症状のことです。 ストレスによる心の病気はPTSD以外にも急性ストレス反応やうつ病などもありますが、 PTSDかどうかということは、一定の診断基準(ICD‐10、DSM‐Ⅳなど)を参考に決められていることが多いようです。

高次脳機能障害は脳に器質的な損傷があり、それが原因となる精神障害です。 対してPTSDは、脳に損傷が無いため、非器質性精神障害という呼び方をします。 PTSDなどの非器質性精神障害は、第14級、第12級、第9級のいずれかに認定されるのが原則です。

PTSDの症状

  1. 再体験:自分の意思に反して心的外傷体験が頭の中に浮かび上がり、反復される。
  2. 回避:心的外傷体験に関連した場面や場所をただ単に避けるということではなく、恐怖感が抜けずに無意識のうちに回避行動をとってしまう。
  3. 過覚醒:入眠困難、易刺激性、集中困難などの症状が、凄まじい心的外傷体験にさらされたために感情が高ぶり、症状が落ち着いていく課程の中で生じるもの。

 

ICD‐10とDSM‐Ⅳ

ICD‐10はWHO世界保健機構の基準です。ICD‐10ではPTSD症状の基準を次のように定めています(簡単にまとめてあります)。 『ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような例外的に著しく脅威的,破局的な性質を持ったストレスの多い出来事を体験し、 乱入してきたフラッシュバック、生々しい記憶、繰り返し見る夢あるいはストレスの原因に似た状況にさらされたときに体験する苦痛によって、 記憶がしつこくよみがえったりする。また、その原因と類似した状況から現実的な回避を好む。ストレスが暴露された時期の部分的想起不能、 過敏性、過覚醒の増大など、これら全てがストレスフルな6ヶ月以内またはストレス期の終わりまでに出現する。』 DSM‐ⅣはAPA米国精神医学会の基準です。 こちらについては省略します。 病院ではICD‐10とDSM‐Ⅳ両方の基準を使用して診断したり、どちらか一方を使用して診断したりとまちまちなようです。

PTSDと後遺障害

  • 交通事故を原因としてPTSDが認められた場合と否定された場合の等級例
  • 横浜地裁 H10年6月8日判決  PTSDに認定、第7級
  • 大阪地裁 H11年2月25日判決 PTSDに認定、第7級
  • 東京地裁 H14年7月17日判決 PTSDを否認、外傷性神経症第14級相当と認定
  • 大阪地裁 H14年9月30日判決 PTSDを否認、14級神経障害と認定

RSD (CRPS)(反射性交感神経萎縮症)

自律神経系の異常緊張から血管の収縮が生じて血液による栄養補給が行き渡らなくなり激痛(カウザルギー)を感じるといわれています。 血流障害、筋萎縮や骨萎縮が見られます。最近では必ずしも交感神経の異常が疼痛の原因となっているとは限らないということがわかってきました。 疼痛、膨張、関節拘縮、皮膚変化、発汗異常など様々な症状が現れることがあります。 神経ブロック、ステロイド、その他薬物による治療、交代浴、物理療法、神経の切除術などの治療方法があるようです。 受傷の態様、程度が軽微なのに比べて、重篤な症状が残る場合があるために、後遺症と事故との関連を疑われる場合があります。 また、医師にRSDと診断された場合であっても、自賠責保険の後遺障害としては認められないケースも多く存在しています。 RSDやCRPSと診断された場合は、自賠責保険の後遺障害等級認定について、適切な認定がされているかどうかよく検討することが大切です。

うつ(鬱)と後遺症

抑うつ状態が続きます。悲しい、寂しい、絶望的、無気力や焦りなどの精神症状のほか、睡眠の異常、食欲の変化、肩や腰の痛みを訴える場合もあります。 脳に損傷を受けていなくても発生するため、後遺症認定のなかでは、非器質性精神障害として分類されます。主にストレスにより引き起こされますが、 その人の性格や持病などによっても症状の程度は変わります。交通事故に遭うと普段は経験しないストレスに晒されることになります。 加害者とのやり取り、 医師への対応、保険会社担当者とのやり取りなど、何が妥当なのかがわからないことだらけです。しかも相対する相手は自分とは 利益相反する立場の者ですので、 いうことを鵜呑みにしてよいものか疑心暗鬼になります。そのためごく小さな食い違いによって不安は増幅され、ストレスはさらに蓄積されていきます。

交通事故のあとに抑うつ状態が続き、社会生活が困難になる人もいます。事故後にそうした症状が出た場合、うつ病という診断名がつく場合もありますが、 外傷性神経症やPTSDという診断がされる場合も多いです。どういう診断名をつけるかは、症状により医師が判断します。 非器質性精神障害の特徴として、事故後必ずしもすぐに発症するわけではなく、一定の期間をかけて症状が悪化していく場合もあります。そのため事故直後から 心療内科や精神科に通院していなくても等級認定され得ます。非器質性精神障害の等級は、以前は第14級にしかなりませんでしたが、 平成15年の改正により現在は 原則として14級のほか、12級、9級に認定される可能性があります。

被害者の二重の苦しみ

非器質性精神障害が後遺症として残ると、被害者は「本人が弱いからではないか」「普通の人ならそうはならないのではないか」というような視線にさらされることがあります。 確かにそのようなケースも見受けられますが、全てがそうではありません。 交通事故による後遺症には、 いまだに原因がよくわからない痛みであるとか、麻痺であるとかいったものが存在しています。これらは単に、 現在の医学レベルで原因の証明ができないというだけの理由で、後遺障害の認定から除外されてしまいます。 そうした痛みや麻痺のために仕事が続けられなくなった人も大勢います。そうした人たちは「医学的に証明できない=精神的なものではないのか?」という 疑いの目に晒され、 強いストレスを受けます。加害者や保険会社だけではなく、職場の仲間や、家族にまでそういう目で見られるのです。 言葉でいわれなくても「もしかしたら」と思っている気持ちが伝わってきてしまうのだそうです。等級認定されないため満足な損害賠償も受ける事ができません。 そのような環境に晒され、何年か経ってからうつ病と診断される人もいます。これは無理もないことではないのでしょうか。 離婚や離職もその原因に よっては等級認定の判断材料となってもよいのではないでしょうか。非器質性精神障害の等級認定では、医師の診断書が非常に重要になります。 等級認定の対策として、日頃から医師とよいコミュニケーションが取れるよう努力しておくことも大切です。

脊髄損傷

脊髄とは、脳からのびて脊柱管の中を走行している中枢神経で、その高位により頚髄や胸髄、腰髄等と分けられます。 事故で頚部に強い外力を受けた場合、頚髄を損傷する場合があります。診断書には中心性脊髄損傷とか、頚髄不全損傷と書かれることが多いです。 症状としては手や足のしびれ、麻痺、感覚異常、排尿障害などがみられますが、必ずしも全ての症状が揃うわけではありません。 症状の程度も様々で、支障はあるものの通常の日常生活を送ることが可能なケースもあれば、支障著しく就労が困難ということもあります。

診断基準と認定基準

『医師は中心性脊髄損傷と診断してます。脊髄が損傷しているのだから14級では低すぎるのではないでしょうか?』という疑問をお持ちになり、ご相談いただく方が多いです。 確かに脊髄の損傷が明らかであれば、12級、9級、7級、もしくはそれ以上の重い等級が認定されてもおかしくはありません。 それではなぜ14級にしか認定されないのでしょうか。それは医師の診断基準と、後遺障害等級の認定基準に違いがあることが原因となっています。 ある傷病名をつけるための医師の診断基準には、全てに厳密な決まりがあるわけではなく、医師個人の裁量に任される部分が大きいです。たとえば『中心性脊髄損傷』という 診断をする場合には、症状、画像所見、その他の検査所見などを参考に診断を行いますが、どういう画像検査法やその他の検査法を取るか、また、その結果をどの程度 重要視するかは医師の自由ですので、医師によって傷病名が異なるということがしばしばあります。たとえば、ある医師の診断では中心性脊髄損傷だったが、 別の医師の診断では外傷性頚部症候群だった、ということがあるのです。

わかりにくい脊髄損傷もある

脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴うものと、そうでないものがあります。骨折を伴い見た目にも脊髄の損傷が明らかなケースでは、等級認定上大きな問題は起こりにくいですが、 骨折がなく、見た目には脊髄が損傷しているのかどうかはっきりわからないケースでは、適切な等級認定を行う上で問題が起こりやすいのです。 中心性脊髄損傷や不全損傷といわれる場合、損傷が画像に写る場合もありますが、写らない場合もあります。 写らない場合は14級止まりとされることが多いのです。しかしそれでも画像以外の所見が脊髄損傷を証明できる程度に得られれば、 12級以上の等級に認定されることはあります。ですから『画像に写らないから』と安易に諦めるべきではありません。

後遺障害等級の認定には、強い公平性が求められています。傷病名によってのみ等級を決めていては、医師によって傷病名が異なることが珍しくないという現実を考えると、 公平性が担保されないため、医師の診断とは別視点から見た認定基準が必要とされているのです。脊髄損傷の場合、医師にそのように診断されても、 後遺障害等級認定基準には該当しないケースが数多くあります。これは一律に医師が間違っているとか、傷病名がおかしいとかいうことではなく、 等級認定がおかしいということでもありません。もともと12級以上の等級に認定されるのは『脊髄損傷』と診断された中で、一部しかありません。 『認定がおかしい』『医師の診断がおかしい』という疑義を持つ前に、何が原因で認定されなかったのか、正しい分析をすることが重要です。

異議申し立てに必要なこと

具体的な対策としては、一般的にはMRIによる検査、その他の神経学的検査を受け、医師に診断書を書いていただくことになりますが、 既に検査済みということが多く、新たに検査を受けるということよりも、ポイントを押さえた診断書等を出すなどの方法を取ることが多いです。 別の医療機関を受診することで道が開けてくるケースもあります。

症状固定前からの対策が有効なケースも

症状固定前からご相談いただいていれば、あるいは何とかなったかも・・・という依頼者様が多いのが、脊髄損傷の特徴です。 辛い症状で生活が変わってしまっている方が多いですが、低い等級にしか認定されず、精神的にも参ってしまっている方が多いです。 お困りの方は、できるだけ早めにご相談ください。

異議申し立ての事例

事故態様

32歳男子会社員が自転車で道路横断中に乗用車にはねられる。被害者は衝突位置より3m先に投げ出され転倒。

傷病および治療経過

頭部打撲、中心性脊髄損傷、頚部挫傷、左手首・左肘、左肩打撲、腰部打撲、右股関節捻挫、右膝打撲など。2ヶ月入院の後1年半通院し症状固定。 初回認定では、四肢の痺れおよび感覚障害により14級9号に認定。被害者は杖歩行を強いられており、一般就労は不能な状態が続いている。

異議申し立て

症状固定時の病院に医療照会を行い、検査および診断書作成を依頼。並行して別の病院にて画像検査等を受け、こちらでも診断書作成を依頼した。 資料を整理し症状経過を明らかにした上で異議申し立てを実行。12級13号に認定される。

Q. 頚髄不全損傷で認定される等級は?

A. 昨年10月に停車中に追突され頸部捻挫などでずっと 通院していましたが、1週間前に症状固定により後遺 障害の申請をしました。通院していた整形外科で後遺 障害診断書を書いてもらいました。内容は、  診断名・・・頸部挫傷、頚髄不全損傷、右肩挫傷 自覚症状・・頸部痛、頭痛、嘔気、手の痺れ、時々右 足左手痺れ、肩から腕にかけての痛み、右腕鈍痛 他覚的所見・・MRI画像にて頸椎骨変形あり、上肢腱反 射正常、握力 右、左 20kg、 運動機能障害・・前屈 40℃ 後屈 20℃ 右屈 30℃ 左屈 30℃  右回 40℃ 左回 3 0℃ です。頚髄損傷で後遺障害は認められますか?ま た、認められたとしたら何級になりますか?

Q. 後遺障害等級が何級に認められるかにつきましては、後遺障害診断書記載内容のほか、レントゲンなどの画像フィルム、 その他の診断書等の内容により判断すべきことです。お示しいただいたデータはそのうちのごく一部のものでしかございませんので、 予想するにしましても、かなり不確かなことしか申し上げられません。強いて申し上げますと、診断名と自覚症状、 それからMRIで椎骨変形が認められるということですと、14級または12級に該当する可能性はあるということになります。 頚髄不全損傷という診断がありますので、9級以上の等級になる可能性もゼロではないと思いますが、それには画像や神経学的検査によって、 損傷の存在が明らかにされる必要があります。医師が診断名を付ける根拠とした所見は、等級認定に要求される所見とは異なりますので、ご注意ください。